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2000年1月20日(木)
04:30 起床

・前日とほぼ同じ時刻に目が覚める。予定では、バンセンヌ競馬場に行くこととしていたが、レースは、午後1時30分開始(キオスクで買ったフィガロの記事で確認)。こうなったら、朝食即行動開始で、目的のひとつ、ランジス市場見学にケリをつけることとした。

07:00 ホテル出発

・ランジス市場へは、メトロとバス使用なので、「パリ・ビジテ」(一日乗り放題チケット)を使用。
・観光向け市内地図の外へでる。あらかじめ、「ランジス・マルシェ・インターナショナル」や「パリ・オブニ」のホームページで情報収集してきたものの、地図での位置確認ができないままの「ガイド・ブック」だより。ところが、ポルト・ド・イタリー駅でバス乗車のところ、手前のパルク・ド・イタリー駅と早とちり。おまけに、「ガイド・ブック」の路線番号が、誤記してあったことが重なり、このため、メトロ下車駅の間違い、「ふたまた」メトロの乗り間違い、バスの逆方向への乗車と、正解ルートに乗るまで、みごとに、間違いだらけ。(約、1時間半浪費も「パリ・ビジテ」利用で正解)

09:30 ランジス行きのバス

・路線番号185ランジス行きのバスに、始発ポルト・ド・イタリーの停留所から乗車。
・バスは、ぎりぎり通れるような市街地の街路や高速道路なみの大通りなど、変化にとんだパリ近郊のコースを約30分走り、ランジス市場に到着。

10:00 ランジス市場

12:00 帰りのバス

・帰りのバスに、乗り込んで、出発待ち。おばさん一人と少年数人がいさかい。警備員か警官か、数人現れたり、なにやら物騒な空気。しばらくして、後ろのバスに乗り換えるよう指示があり、出発待ち乗客が、ざわざわと乗り換える。「プルクワ(なぜ)」の声もまじる。結局、災難に会わなかったものの、不気味。
・昼ひなかというものの、帰りは、途中の住宅街のバス停から満員に。運転手の後ろのひとりカケの椅子にすわって、乗車客の様子を観察する。運転手席後ろに改札パンチ機械(整理券交付機の大きさ)が備えつけられているが、まともに、機械に「チケ」を挿入して、パンチしている人のほうがずっと少ない。定期券をきっちり運転手に見せているようにも思えず、どんなルールになっているのか、わからずじまい。みつからなければよい、ということか。そういえば、ランジス発の際、わたし自身の「パリ・ビジテ」を運転手にみせていない。                                  
14:00 昼食

・時間くってしまったので、競馬場行きは、先送りして、ポンピドー文化センターに向かう。「シャルトル」駅で下車。乗り換え通路が、動く歩道含め延々と続く。
・「ポン・ヌフ」駅下車。昼食に、日本語含め、6か国語で表示した看板のあるカフェ「HIPOPOTAMUS」(象)を見つける。定食は「日本の皆様、イポ(HIPOPO)・マラン(?)とご注文ください。」と親切な説明看板、象の絵入り。
・店の中は、ほぼ満員。カウンターへの案内をリクエストし、「イポ・マラン」と注文する。カウンターのギャルソン、ビール・サーバーで忙しい中、明るく応接してくれる。
・「イポ・マラン」は、数点から飲み物・料理をチョイスできる「ムニュー」のこの店での呼称。こちらが、モゴモゴしていると「ボワソン?コカ?」「チキン・OK?」と適当に決めてくれる。「ノン、アン・ドゥミ(ビール)」「ウイ」で、しばらくして、バゲットとクリスマスに食べるトリのモモのソテ。トリのモモのプラトには、昨夜と同じく、フライド・ポテト山盛り。添えられていたソースが、チーズベースのマヨネーズ風ソース。はじめてのもので、十分満足。カフェ一杯つきで、68.50F。カウンター着席も、明るいギャルソンにお礼をこめて、端数の12Fを「モネ、シルブプレ」おにいさん、えがおでmerci。男一人で来ている以上、食事は期待できないし、いい飯にありつくためのエネルギーは、もったいない。

15:00 フォーラム・デ・アル

・ポン・ヌフのたもとの、巨大な地下商業施設「フォーラム・デ・アル」に立ち入る。ブランド店はないものの、若い子向けのブティックに「SOLDE」のポスターが並ぶ。日本と同じ、バーゲンセール時期。「-50%-40%-30%」など刺激的。ただし、これも日本と同じで、バーゲン用に仕入れた商品とおぼしきものが目立つ。
・家族用みやげを調達。

16:00 ポンビドー・センター

・正面外壁エスカレータで最上階の6階へ。4階ぐらいで、パリの軒を揃えたビルの高さに届く。6階からの眺めは、すてき。右(北)にサクレクール寺院とモンマルトルの丘。中央(西)やや左にエッフェル塔。左手(すぐ南)に、ノートルダムドパリ。後ろのおばさんも「フォーミダブル」の声。
・シャガールの展示スペースからカンディンスキーに移動したとき、大きなターニング・ポイントを感じさせる。ルーブルのルネッサンス。オルセーの印象派。人類の歴史を順に訪ねることができた。
・彫像も、華麗。背丈3m超、ただし、3サイズせいぜい30cm程度のジャコメッティ「fume debut」。圧倒的ボリュームとユーモアと家族のあたたかさを感じさせるマックス・エルンスト「カプリコン」。
・昨日、今日と朝からの歩きとおしで、足が張る。ここでも、館内cafeでじっくり休憩。

19:00 EDレペシエ

・ガイドブック紹介のスーパーをさがす。店の玄関が、直接道路に接していないので、1度めは、通りすぎてしまう。店は、日本のコンビニ程度の広さで、期待を裏切られる。品揃えも不満だったが、いったん店に入ると出口まで一本通路で、なにか買わないと、出られないような構造。シャンパンとおみやげ用のパテのセットなど調達。レジで代金支払い。日本と同じく、レジスターに、買い上げた金額が表示される。違うのは、ビニル袋が有料だったこと。私の前の客にビニル袋が渡されていたので、当然もらえるものと思っていたところ、私の支払いが済んでも、ビニル袋をくれない。「サック・サック」と所望していると、「ボン・ソン・サツク?」と問いかけがある。1枚25サンチームでした。
・「日本では、ビニル袋は、なぜ、タダなのか」と自問する。スーパーができる以前の賑やかだった商店街の買い物客は皆、手提げの買い物籠を持っていった。環境保護の観点から、買い物籠の奨励の働きかけもある。有料の生協もあると聞く。ビニル袋を有料にするほうが、社会政策的には、効用があるような気がする。帰りのメトロで、こんなことを考えていると、向いにすわっている女性乗客が、バックから本をとりだした。表紙のフランス語を読むとサリンジャーの「フラニーとズーイー」だった。ブック・カバーをつけていないので、わかった。(なお、「フラニーと」の「と」が「et」だったので、フランス語訳判とわかる。)となりの女性乗客もブックカバーをつけていない。「A MAP of THE  WORLD」という本。こちらは、いかにも、英語の勉強用とみえる。ブックカバーがないのは、同じくビニル袋と同じ。むだなものは、つけない。あるいは、省資源。本が大きい。「フラニーとズーイー」なら日本では文庫判。これが、聖書ぐらいの厚みと紙型。なぜ、本がこんな太いのだろうか。つまるところ、アルファベットが「漢字」にくらべ、同じ表現でもスペースがかさむことによる、と結論づける。活字の関連分野では、「漢字文化」は、アルファベット文化より、省資源。環境ISO取得のため、コピーの両面化など奨励されている。それ自体は、有益なことであっても、アルファベット側には、工夫が足りないのではないか。日本式ブックカバーごときは、大した消費量ではないと思う。ブックカバーは、「本を大切にする」「資源を大切にする」良い文化ではないか。
・晩餐は、ホテルの部屋で、ひっそり。アンチョビーやチーズをあてに、ハイネケンを空ける。