あやしげな港町 at 2001 03/08 14:53

夜遅く、港町ピレウスに着いた。翌日エーゲ海の島に渡ろうと思ったからだ。 しかし港町とはそうしたものか、町全体が、なんだか暗くて怪し気な雰囲気だった。 (事実、わたしたちが着いた3日後には、ほど近い海上でテロによる客船への襲撃がある。 確か観光客が3人ほど死んだはずだ。ま、そんなことはそのとき知るはずもないのだが。)
少し歩いて、薄汚れた小さなホテルを見つける。細い階段を見上げると、ドアの外に胡散臭そうなおっさんが、夕涼みでもしているかのように、電気の光りの下、椅子に座っていた。
「Do you have a room?」下から叫ぶ。
「Yes.」しゃがれた声。イメージとしてはステテコ姿だがそんな訳はない。
「How much?」声をそろえて聞いてみる。
ふたりで2500ドラクマ。すぐに決める。
あんまりうろつきたくない町なのだ。
中も想像通り暗くて、オンボロだった。 部屋のカギが、何度やっても開かない。がちゃがちゃやってると、うるさかったのだろう、すぐ隣の部屋から下着姿の17〜8才?くらいの女の子が顔を出した。 文句を言おうと思ったのだろうが、わたしたちが東洋人なので、ちょっと驚いた様子だ。 彼女は肉感的なスリップ姿のまま、親切にカギを開けてくれた。開けっ放しの彼女の部屋を見ると、ベッドには若い男がいた。どうやら邪魔したみたいだった。
ここまでの道のりは遠かった。
気がつくとお腹がすいている。 食事ができないかと下に降りる。さっきのおっさんのほかにこれまた酔っぱらったおっさんが増えていて、わたしたちを、しきりにどこかに誘ってくれてるようだ。何を言ってるかはわからない。ただ顔を見合わせては、ぐふぉ、ぐふぉ笑う。それが何とも、下劣な笑いだ。 こんな人たちにはつきあっていられない。何とか断った。
部屋に戻って、昼間買ったパンと水ですませる。
「何か、いやな町だね。」 ピレウスに泊まることにしたことをちょっと後悔した。
この夜、わたしたちはよく眠れなかった。 隣の彼女らの、一晩中続いた含み笑いのせいだけではない。
なんだか、妙な緊張感のある町なのだ。

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宿もおぼつかないギリシャ−トルコ紀行の一節 バックパッカーのマニュアルが整備されてきた今日 このような体験を 共有できる日本人は 多くなってきているが この人は 相当以前の経験をメモをたよりに復元している 人生の記録として残しておこう と いう 想いが 共感できる。

From okparis@goo ( HP ) To kunii-keiko@goo at 2001 03/08 20:54
RE:A Bout de Souffle
港町ピレウスのカギのシーン なんか「パリ・テキサス」みたい 脈絡ないかもしれませんが kkさんのコレクションにあるような 感じしますが いかがでしょうか

To okparis@goo at 2001 03/09 08:38
RE:A Bout de Souffle
さすが、もうわたしの趣味は読まれてますね。 あります。(笑)これは、ちゃんと2回くらい見ました。


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