見附のみどりに [荒川洋治・水駅] から 

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妹は
濠ばたの
きよらなしげみにはしりこみ
白いうちももをかくす
葉さきのかぜのひとゆれがすむと
こらえていたちいさなしぶきの
すっかりかわいさのました音が
さわぐ葉陰をしばし
打つ

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夢をみればまた隠れあうこともできるが妹よ
江戸はさきごろおわったのだ
あれからのわたしは
遠く
ずいぶんと来た
いまわたしは、埼玉銀行新宿支店の白金のひかりをついてあるいている。ビルの破音。消えやすいその飛沫。口語の時代はさむい。葉陰のあのぬくもりを尾けてひとたび、打ちいでてみようか見附に。

 

詩集「水駅」は世界地図を書見台に立て その立体化を試みたもの(1974年発表) 時と空間の障害を克服してくれるwwwの現在を予兆させるtext。かつ 小生がGaiaX_comunityにただよっている気分を はるか昔に言い当てている。赤坂からだろうか四谷からだろうか 新宿までたどりついた私は       

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